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自由気ままにひとりごと-ハンドメイドを楽しむ-

ノンミートイーターの夫と2人暮らし。フリマアプリでのハンドメイドアクセサリー出品体験レビューや、お肉を使わないレシピについて、気の向くままに綴っています。

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【読書記録】晴天の迷いクジラ/窪美澄 『死にたい』そんな事を思うとき

日々のこと

学校の後ろの席の方が『パソコンを使うのは初めてなんだ』と仰っていて、度々使い方や入力の仕方を教えてあげているんですが、そのお礼にと本を貸してくれました。

 

自己紹介の時に趣味を言っている方が多くて、私も『ハンドメイドでアクセサリーを作ること、読書』と話したんですが、覚えていてくれたみたいです。

三冊お借りしたうちの一冊がタイトルの通り、窪美澄さんの晴天の迷いクジラ

 

そんな訳で、せっかくなので感想を。

ネタばれ・あらすじ・個人的な話を含みますので、これから読む予定の方・暗い話は聞きたくない!という方は、読まない事をおすすめします。

 

晴天の迷いクジラ あらすじ

デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い 込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛 烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。

新潮社 書籍詳細より引用

http://www.shinchosha.co.jp/book/139142/

 

恥ずかしながら、窪美澄さんの本を読んだのは初めてでした。

『ふがいない僕は空を見た』とかは題名は聞いた事があったんですが、普段推理小説やミステリーを好んで読む方で、手に取った事がなかったんですよね。

 

由人とわたし

あらすじにある通り、前半~中盤までは由人・野乃花・正子

三者三様の『死にたい』と感じるまでの生い立ち、現在の話なので、重い話が続きます。

夢中になって引き込まれるというよりは、私は目を背けたくなる様な気持ちにさせられました。

 

特に主人公の由人に感情移入してしまい、自分と重ねてしまうシーンが多かったです。

私は元々4人兄弟の末っ子でしたが、実は下に妹がいました。

 

私が保育園児の頃のお話

元々病弱で入院しがちだった妹は肺炎をこじらせてしまい、そのまま亡くなりました。

ここまでだと正子と生い立ちは近いですが、どちらかと言えば逆なんですよね。

 

自営業の為、仕事や接待に忙しい父と、妹を亡くしたショックで塞ぎ込む母親。

多少元気を取り戻した母親は、現実逃避をしたかったのか夜中まで出かけていく事が増え、兄弟たちは年が離れていた事もあり、構ってくれない。

 

由人は自分のことを『おばあちゃんチーム』と言っていましたが。

私はそれに当てはめるなら、どこのチームにも属していない様な気持ちでした。

 

そして鬱になる

由人はそのまま父の勧めもあり、進学を理由に実家を離れ、その後失恋・最愛の祖母の死・仕事の激務、様々なことが起こりうつを発症します。

 

原因は差し控えますが、私も実家を離れ関東に来てから過呼吸に悩み、その後軽度のうつになった事があり、由人が心療内科を訪れるシーンも(現在は完治したとはいえ)当時の病院の空気や主治医の先生の事を思い出し、苦しい気持ちにさせられました。

ちなみに私が通った病院の先生、とてもいい先生でした。

 

それでも読むのを止められなかったのは、『死にたい』と感じ、ひょんな事から三人が連れ立って座礁したクジラの元へ行く事になり、そこからどうやって立ち直っていくのか。

それを見届けたいなと思ったから。

 

印象的だったシーンと読後の気持ち

クジラの元へ着いてから出会った、おばあちゃんと雅晴。

この2人がそれぞれ正子・由人へ語った言葉に涙が止まらなくなりました。

 

前半から中盤までの重さと違い、後半の三人が立ち直り、元の生活へ戻っていく所は思っていたより軽く、ボリュームも少なめに描かれていました。

 

でも立ち直る時なんて、そんな物なのかもしれない。

誰でも一度は死にたいとか、もう逃げたいと感じる事はあると思うけど、雅晴が言った

 

「どげなことしたって、そこにいてくれたらそいで。そいだけでよかと」

「死ぬなよ。絶対に死ぬな。生きてるだけでいいんだ」

 

私も当時、地元の親友2人に言ってもらった様に。

そう心から言ってくれる人が居れば、何度でもやり直せるのかなと感じました。

 

最後に正子が母親へ自分の本当の気持ちを伝えられたこと、野乃花が捨てた過去を自分の中へ拾い戻せたこと。

本の中の架空の話ですが、それでも誰も命を絶つことが無く、立ち直って、また未来へ進もうとしていく姿を見られて、ホッとしました。

途中で投げ出さずに、最後まできちんと読んで良かったです。

 

最初は自分のトラウマの様なものと相まって読むのが苦しく、読み始めたのを後悔しましたが、最後には温かい気持ちで終えられました。

 

やっぱり読書は楽しい。